変額保険とは？仕組みやメリット・注意点など丁寧に解説していきます

変額保険は、死亡・高度障害の際の保障とともに資産形成もできる保険商品のため、近年の低金利時代では注目を集めています。

本記事では、変額保険への加入を検討している方に向けて、メリットや注意点を解説します。

変額保険とは

変額保険は「保障とともに投資性を持つ保険商品」です。
変額保険には有期型・終身型・個人年金保険という種類があり、保険料を預ける保険会社の運用実績により、保険金額や解約返戻金、年金金額が変化するのが最大の特徴です。

加入するメリットとしては、保障を備えつつ、資産運用ができる、定額保険よりも保険料が安い傾向にある、インフレ対策ができるなどが挙げられます。
ただし、投資性を持つことから、変額保険にはメリットだけでなくリスクもあることを覚えておいてください。

それでは、変額保険のメリットや注意点について、詳しく説明していきます。

変額保険に加入するメリット

まずは変額保険に加入した場合に得られる、以下の3つのメリットについて解説していきます。

1. 受け取れる金額が増える可能性がある
2. 定額保険よりも保険料が安い場合が多い
3. インフレ対策ができる

1．受け取れる金額が増える可能性がある

変額保険のメリットの1つめは、満期時や死亡・高度障害となった際などに受け取る保険金額や解約返戻金等が、支払った総保険料よりも高くなる可能性があるという点です。
少し専門的になりますが、これは変額保険の保険料が特別勘定により運用されることに起因します。

一般的な定額給付タイプの生命保険では、預けた保険料は他の保険資産と併せて運用されます（一般勘定）。
一方で、変額保険の保険料は、他の保険資産とは別に国内外の株式・債券などで運用されます（特別勘定）。
運用がうまくいった場合には保険金額や解約返戻金、年金金額がアップするという仕組みです。

	運用方法	保険金額・解約返戻金・年金金額
一般的な定額給付タイプの保険	一般勘定（他の保険資産と合算）	契約時の予定利率等により決まる
変額保険	特別勘定（株式や債券等）	運用実績により増額する可能性あり

2．定額保険よりも保険料が安い場合が多い

変額保険のメリットの2つめは、一般的な定額給付タイプの終身型保険よりも保険料が安い傾向にあるところです。
変額保険では株式や債券へ少額ずつ分散して投資するため、加入者1人1人の保険料は安く抑えられます。
これも、変額保険の持つ投資性の高さからくるメリットの1つといえるでしょう。

変額保険で払い込んだ保険料は、生命保険料控除に利用できるのも嬉しい点です。

3．インフレ対策ができる

3つめは、変額保険に加入した場合、インフレ時の金利上昇により、将来の保険金額が増える可能性を持ち続けることができる点です。

しばらく不況が続く日本経済では、金利対策として低金利時代が続行され、デフレ状態となっています。
インフレが来たときには金利が上がりますので、変額保険での運用実績にも良い影響を与えることになります。
つまり、変額保険への加入はインフレ時の対策にもなるのです。

変額保険加入前に確認したい注意点

メリットが多いイメージのある変額保険ですが、投資性の高さから以下のようなリスクもありますので、加入前にしっかりと確認しておきましょう。

元本割れリスクがある

変額保険では運用実績により将来受け取れる保険金額が増減しますので、アップするだけでなくダウンする可能性も考えられます。
そうなった場合は、払込総保険料よりも受け取る保険金額が少なくなってしまうという「元本割れ」に陥るかもしれません。

変額保険の保険金は、「基本保険金＋変動保険金＝保険金額」という構成です。
運用実績により変動するのは「変動保険金」の方で、解約返戻金や配当金に影響を及ぼすことになります。
解約時の解約返戻金には最低保証がありませんが、死亡の際には基本保険金の部分は保障されています。

元本割れのリスクは変額保険に限定されるものではありませんが、投資性の高い金融商品を購入したり加入したりする場合には、元本割れの可能性について事前に認識しておきましょう。

投資信託と比較すると割高な場合が多い

純粋な投資商品である投資信託と変額保険では、その資金の用途について以下のような違いがあります。

	資金（価格や保険料）の用途
投資信託	全額が投資対象
変額保険	投資対象となる他、一部は保険契約維持費や運用費となる

投資信託では信託料が必要ですが、投資での購入価格はそのまま投資対象金額と見なされます。
これに対し、変額保険では、支払った保険料の一部は死亡保障や契約維持費に回されます。

運用実績次第ではありますが、価格的に見ると投資信託よりも割高であるといえるかもしれません。

変額保険の加入がおすすめの人

ここまでにご紹介してきたメリットや注意点から、変額保険は以下のような人に向いているといえるでしょう。

・元本割れリスクを認識し、インフレ対策をしたい人
・保障も備えつつ、長期的な資産運用をしたい人
・銀行や郵便局での預貯金のみで将来に備えている人

変額保険は金利変動に影響を受ける金融商品ですので、元本割れのリスクがどうしてもついてまわりますが、インフレ時に大きなリターンを期待できるのが魅力です。
投資性の高い変額保険は長期的に加入することで、元本割れリスクを軽減させることもできます。

他の投資商品と異なるのは、変額保険では死亡・高度障害保障があるところです。
保険金額には最低保証が設定されていますので、投資と保障の両方に興味のある人には、変額保険がおすすめです。

まとめ

変額保険は経済情勢に左右されるという特徴がありますが、これをメリットと捉えられる人には変額保険に向いています。
不況の低金利時は、変額保険へ加入する1つのチャンスです。
変額保険が気になっている人は、この記事を参考に、ぜひ検討してみてください。