年末調整の際は、勤務先に書類をいくつか提出する必要があります。
そのうちのひとつが、「給与所得者の保険料控除申告書」です。
勤務先によっては書類を記入してくれるところもありますが、自分で記入しなければならない場合も少なくありません。
年末調整は毎年行うものなので、書き方をしっかり覚えておきたいですよね。
本記事では、保険料控除申告書の書き方や、書類を提出し忘れた場合などについて解説します。
年末調整で提出する「保険料控除申告書」とは
「給与所得者の保険料控除申告書」とは、生命保険や地震保険、社会保険などに支払った保険料を申告し、所得控除を受けるための書類のことです。
年末調整の際に勤務先へ提出する書類のひとつで、保険会社などから届く「控除証明書」をもとに記載します。
申告書を提出することで、所得税と住民税の負担が軽減されます。
提出し忘れたらどうなる?
申告書を提出し忘れてしまった場合は、勤務先でもらえる源泉徴収票をもとに確定申告をしなければいけません。
確定申告の場合でも同じように所得控除を受けられますが、面倒な手続きは早めに処理しておきたいものでしょう。
年末調整の時期になると、勤務先から書類の提出を指示されることが多いはずです。
もし指示されない場合は、提出し忘れないように注意しましょう。
年末調整で提出する保険料控除申告書の書き方
保険料控除申告書は、記載がはじめての方や慣れていない方にとってはわかりづらいかもしれません。
ここでは、申告書の書き方をわかりやすく解説していきます。
なお、正社員や契約社員、パート・アルバイトなど、雇用条件が異なる場合でも申告書の書き方は共通です。
記載する箇所
申告書の記載箇所は、大きく分けて4つあります。
【申請書の記載箇所】
自分の情報 | |
生命保険 | 地震保険 |
社会保険 | |
小規模企業共済等掛金控除 |
企画書では「確定拠出年金」ですが、実際の申告書に合わせて「小規模企業共済等掛金」と記載しております
「自分の情報」を記載したら、それぞれの書き方を見ていきましょう。
生命保険
生命保険料控除の欄には、「一般の生命保険料」、「介護医療保険料」、「個人年金保険料」について記載します。
控除証明書に記載がありますので、届いたら確認してみましょう♪
控除証明書に記載のとおりに、各項目を埋めていきましょう。
1 保険会社等の名称を記載(略称可)
2 保険等の種類を記載(定期、終身、がん、医療など)
3 保険期間または年金支払期間を記載(10年、終身など)
4 契約者の氏名を記載(控除証明書より転記)
5 保険金の受取人を記載(同上)
6 あなたとの続柄を記載(本人、配偶者など)
7 新・旧制度の区分を選択(控除証明書に記載あり)
(契約日が2012年1月1日以降の場合は「新契約」、2011年12月31日以前の場合は「旧契約」)
8 あなたが本年中に支払った保険料等の金額を記載(控除証明書の「予定支払額(または予定申告額等)」を転記)
9 新保険料・旧保険料の合計額をそれぞれ記載
10 申告書下部の計算式I、または計算式Ⅱにあてはめて計算
11 計算結果をもとに、①②③④⑤⑥㋑㋺㋩を記載(1円未満切り上げ)
12 生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)を記載
「生命保険料控除証明書」は申告書に添付、または電子的控除証明書の電子データを送信して、勤務先に提出しましょう。
地震保険
地震保険料控除は、火災保険に付帯している地震保険特約について記載します。
「地震保険料控除証明書」に記載されてあるとおりに、各項目を埋めていきましょう。
1 保険会社等の名称を記載(略称可)
2 保険等の種類(目的)を記載(地震など)
3 保険期間または年金支払期間を記載(5年、10年など)
4 契約者の氏名を記載(控除証明書より転記)
5 保険の対象となった家屋などに居住、または家財を利用している者の氏名を記載(控除証明書に記載はないが、現状を記入)
6 あなたとの続柄を記入(本人、配偶者など)
7 地震保険料、または旧長期損害保険料の区分を選択(控除証明書に記載あり)
8 あなたが本年中に支払った保険料等のうち、左欄の区分に係る金額を記載(控除証明書の「予定申告額」を転記)
9 地震保険料・旧長期損害保険料の合計額(Ⓑ、Ⓒ)を記載
10 地震保険料控除額を記載
「地震保険料控除証明書」は、申告書に添付、または電子的控除証明書の電子データを送信して、勤務先に提出します。
社会保険
社会保険料控除は、自分や自分と生計をともにする親族の社会保険料を支払っている場合に記載します。
「社会保険料控除証明書」や「保険料納付証明書」、「保険料の領収証書」をもとに各項目を埋めていきましょう。
1 社会保険の種類(国民年金、国民健康保険、厚生年金など)
2 保険料支払先の名称を記載
3 保険料を負担することになっている人を記載(自分または家族の氏名)
4 あなたとの続柄を記載
5 あなたが本年中に支払った保険料の金額を記載(控除証明書より本年中の支払予定額を転記)
6 合計(控除額)を記載
「社会保険料控除証明書」等は、申告書に添付して勤務先に提出しましょう。
確定拠出年金(小規模企業共済等掛金控除)
確定拠出年金(小規模企業共済等掛金控除)は、「独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金」や「企業型年金加入者掛金」、「個人型年金加入者掛金」、「心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金」について記載します。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」をもとに、本年中に支払った掛金の金額を記載し、合計(控除額)を記入しましょう。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、申告書に添付して勤務先に提出します。
生命保険料控除の計算方法
生命保険料控除の計算方法は、年間の支払保険料に応じて計算式が異なります。
詳細は以下のとおりです。
(出典:国税庁「生命保険料控除」)
【新契約】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
年間支払保険料が60,000円の場合の計算は、60,000円×1/4+20,000円=35,000円です。
【旧契約】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
旧契約だと、年間支払保険料が60,000円の場合の計算は、60,000円×1/4+25,000円=40,000円に変わります。
新契約と旧契約の双方に加入している場合は、それぞれの計算式をもとに計算し、合計額を求めます。
ただし、旧契約の年間支払保険料の金額によって控除限度額が異なる点に注意しましょう。
・旧契約の年間支払保険料等の金額が6万円を超える場合
【旧契約】で計算した金額(最高5万円)
・旧契約の年間支払保険料等の金額が6万円以下の場合
【新契約】で計算した金額と【旧契約】で計算した金額の合計額(最高4万円)
まとめ
保険料控除申告書は、基本的に控除証明書を見れば誰でも記載できます。
控除額の計算も決して難しくないので、本記事を参考に各項目を埋めていきましょう。
毎年あることではありますが、見方や書き方など、わからなくなった場合は
いつでもライフデザイン岩切までご連絡ください。
記入のお手伝いもさせていただいております。
また、年末調整の際に書類を提出し忘れた場合でも、確定申告にて手続きが可能です。
控除証明書はしっかり保管しておきましょう。